市民連合、立憲野党に2020年版政策要望提出

参考:

市民連合 野党に政策要望 志位委員長「全面的に賛成」 政権交代・連合政権へ力尽くす
しんぶん赤旗 2020年9月26日(土)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-09-26/2020092601_01_1.html

当サイトが入手した、要望書の全文を掲載しておきます。
(※文書名義は市民連合愛知になっています)
(※当サイトがこの要望書の内容に必ずしも全面的に賛同しているわけではございません。)


2020年9月23日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合@愛知
市民と野党をつなぐ会@愛知

立憲野党の政策に関する私たちの要望
-「自己責任」(自助・共助)から公助の時代へ-

 新型コロナウイルスが猛威を奮い、私たちがこれまで「当たり前」と思っていた生活の至る所に影を落としています。その中でも、名目上の経済優先、特定団体・企業・産業への利益誘導を続ける政権与党。「GoToキャンペーン」による感染拡大、持続化給付金の給付遅れによる個人事業主の倒産など、場当たり的で、後手後手の対応にあらわれた政治の機能不全による社会の混乱が顕在化しています。
 今、私たちは新型コロナウイルスの危機によって露呈した社会の混乱という形で、この四半世紀弱の期間に展開されてきた「新自由主義」によってボロボロに傷ついた日本社会の真の姿を目の当たりにしています。「自己責任」と競争原理の徹底は、貧困層の増大と格差の拡大をもたらし、個人の尊厳を支え実現すべき公共社会・福祉社会を解体してきました。私たちが生活の苦しさを政治に訴えることは「非国民」だと非難されるようになり、公益のために個人は我慢するべきだという風潮が政権与党によってつくられてきました。
 しかし、本来、政治は私たちの生活の苦しさを救い、尊厳ある生を保障するためにあります。憲法で保障されている生存権、教育を受ける権利、労働権などをはじめとする基本的人権を、そして日本社会で暮らすあらゆる人びとの個人の尊厳を実現する政治を今こそ選んでいきたいと考え、次のとおり要望します。

1.新型コロナウイルス感染症対策を全ての人びとの生命・健康をまもる政策に刷新する
政権与党による現在の新型コロナウイルス感染症対策は、誰か犠牲になってもやむを得ないという生命・健康を軽視した対策です。犠牲になってもやむを得ない生命・健康はありません。徹底した検査体制を確立し、封じ込めることによって、日本社会に暮らす全ての人びとの生命・健康をまもる政策に転換されねばなりません。
各地での徹底した検査体制の確立、地域医療の拡充・支援、社会のインフラ基盤をささえる労働者、中小企業と家計の支援に重点を置いた手厚い経済対策、及び、芸術・文化への公的支援の拡充を求めます。

2.税制による所得の再分配機能を取り戻す
安倍政権が強行した消費税10%増税は所得の低い市民ほど生活への打撃が大きいものです。消費税負担の軽減を含めた、所得、資産、法人、消費の各分野における総合的な税制の公平化を実現し、社会保険料負担と合わせた低所得層への負担を軽減し、富裕層に相応の負担を求める税制の確立を求めます。

3.「8時間働けばふつうに暮らせる」労働法制を確立する
安倍政権は、高度プロフェッショナル制度を導入して過労死認定水準の長時間労働を合法化し、派遣労働は限定・臨時的な業務に留めるべきという派遣法の理念を捨て去る派遣法改悪により「いつまでもずっと派遣」の働き方を容認しました。これら安倍政権下における労働者保護に反する法改悪の撤回を求めます。ハラスメント防止策の徹底、非正規労働者の保護の徹底に加え、全国一律最低賃金を時給1500円以上に引き上げ、「8時間働けば普通に暮らせるルール」を実現するように求めます。さらに、1日8時間・週40時間の労働時間を短縮し、人間らしく働ける労働法制の確立を求めます。

4.誰もが健康で文化的な生活を送ることができる社会保障制度を確立する
安倍政権下、最後の頼みの綱である生活保護の基準が引き下げられ続けました。「これでは生きていくことができない」という悲痛な声があげられています。「誰もが健康で文化的な生活」、尊厳ある生活をおくることができる生活保護制度の確立を求めます。あわせて、公的年金制度を拡充すること、医療・福祉を支える労働者の専門性を確保できる待遇を整えることを通じ、すべての人が健康で文化的な生活を送ることができる社会保障制度の確立を求めます。

5.あらゆる子どもの学ぶ権利が保障される社会を創造する
義務教育終了後の学費及び義務教育における給食費・教材費の完全無償化を行い、家庭の経済状況によらず、誰もが学ぶ権利を保障される社会をつくることを求めます。
学校教育は、子どもが主体的に学ぶ権利を保障できるものであるべきです。そのために、少人数学級の実現、子どもに対する「公益」を優先する思想の押しつけに通じる道徳主要科目化の撤回、子どもと向き合う教師に対する教育内容・教育行政への国家による統制をなくすよう求めます。
また、様々な原因で学校に登校しない選択をする子どもの学びも、公的に保障される制度の確立を求めます。

6.農林水産業が永続できる制度を取り戻す
いのちを支える農林水産業は民間営利企業の競争原理だけに委ねるのではなく、公的な制度によって支えるべきです。低下し続ける食料自給率の向上のために、地産地消の推進など農林水産業の育成を含めたバランスのとれた産業政策の実施を求めます。安倍政権が廃止した「主要農産物種子法」、「漁業法」、「一次産業個別補償制度」を復活させるよう求めます。また、与党より改正案が出されている「種苗法」については、これまで行われてきた「自家増殖」「自家採種」を禁ずることのないよう求めます。

7.性暴力被害者の尊厳を回復し、新たな性暴力加害を生まない制度を整える
性暴力被害者の尊厳を回復するために必要不可欠なワンストップセンターの拡充と職員の待遇向上を求めます。あわせて、加害者に対する教育に必要な専門性をもった職員の拡充も実現させてください。
同時に、学校教育において人権尊重の観点からの性教育を行うことを求めます。

8.差別を許さない社会を実現する
  障害者やLGBTQに対する差別解消施策の徹底を求めます。
法律婚の自由をあらゆるカップルに平等に認めるために、同性婚を法制化してください。
ヘイトスピーチに対する法的規制を強化すると共に、インターネット上での誹謗中傷や差別を含む内容の投稿・拡散及びそういった状況を放置する企業への法的規制の整備を求めます。
安倍政権下での不当な差別である、朝鮮学校をはじめとする外国人学校を幼保無償化から除外する措置の撤回、朝鮮学校への高等学校無償化から除外する措置の撤回をしてください。

9.ジェンダー平等社会を実現する
女性に対する雇用・賃金・昇格差別の撤廃、選択的夫婦別姓の法制化、議員の男女同数化(パリテ)実現のための候補者数男女同数化などを通じ、ジェンダー平等社会を実現するよう求めます。

10.「原子力ムラ」の論理から抜けだし、脱原発を前提にしたエネルギー政策を確立する
東電・福島第一原発事故を検証し、原発事故が広範囲・長期に至る環境と社会生活の破壊を起こす事実に学び、原発再稼働を認めず、早期の原発ゼロを実現してください。同時に、エネルギー政策や産業政策を抜本的に見直し、再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー政策の確立と地域産業の育成による地域再生を求めます。

11.国際社会と連帯して気候危機に立ち向かう
安倍政権は、民主党政権時代に国連気候変動サミットで日本が掲げた目標である「温室効果ガス排出量を20年度までに1990年度比25%削減」を取り下げて以来、温暖化対策に消極的な姿勢をとり続けました。他方、安倍政権下の7年余の間に世界中で気候危機が進行し、その中で石炭火力発電所の新設・輸出を進める日本政府の消極的な姿勢は国際社会から批判を受けています。近時、超大型台風災害・豪雨災害が相次ぎ、日本国内の複数の地方自治体が気候非常事態を宣言している中、気候危機への対処は不可欠です。脱石炭火力の方針を明確にし、気候危機とたたかう国際社会と連帯して行動するよう求めます。
さらに、近時の豪雨災害は、気候変動の影響のみならず、日本政府が長らく林業をおろそかにし山林の治水力を低下させてきたことや、河川の治水をおろそかにしてきたことに起因する人災も多くあります。持続可能な治山治水の実行を求めます。

12.市民の負担が増える大型開発頼みの経済政策から脱却する
IR(統合型リゾート)カジノは市民生活には不要なものです。その上、地域経済の破壊、ギャンブル依存症の増加などが懸念されます。リニア新幹線建設もその必要性に疑問があり、環境破壊、費用負担増大などの諸問題が山積しています。大型開発頼みの経済政策から脱却し、IR、リニアはいずれも廃止するよう求めます。

13.憲法前文・9条にのっとった平和政策へ転換する
兵器の「爆買い」や敵基地攻撃能力の向上などの“軍事的安全保障”路線から脱却するよう求めます。憲法前文・9条を有する日本の安全保障政策は、国家間の信頼構築のための外交を軸とされねばなりません。とりわけ東アジアにおいて、日韓関係の修復、中国に対する平和維持のための地道な対話、日朝平壌宣言に基づく朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化・拉致問題解決のための協議を早急に再開することを求めます。
また、沖縄県民が示し続けている民意を真摯に受け止め、基地のない沖縄を目指し、普天間基地の速やかな撤去・返還、辺野古新基地建設中止、日米地位協定の抜本的改定を求めます。
東アジアの非核化に向けた多国間対話を再開するとともに、被爆国として「核兵器禁止条約」への署名・批准を行うことを求めます。

14.民主主義が育まれる社会へ
国会における公開の討論を経ない規制改革推進会議などの有識者会議において、政策を実質的に決めることはやめてください。また、一票が平等に反映される選挙制度の改善(小選挙区廃止など)を進めてください。
地方自治体の自由・自立を確保するために、財源面においても自治体制度に関する地域の自由度を広げ、中央省庁による自治体に対する操作・誘導を排してください。

15.立憲主義に基づく政治が行われる社会へ
特定秘密保護法、安全保障法制、テロ等準備罪(共謀罪)など、安倍政権が強行採決によって成立させてきた、違憲の疑いの強い諸法律は廃止すること、「集団的自衛権の行使」を容認した閣議決定は撤回することを求めます。
内閣総理大臣主催の「桜を見る会」、森友学園・加計学園・南スーダン日報疑惑、及び河井克行元法務大臣夫妻の選挙買収・公職選挙法違反を徹底追求することを求めます。
検察官の定年延長問題、幹部公務員の人事に対する内閣の関与の仕方を点検し、内閣人事局を廃止することを求めます。
あわせて、公文書の改ざん・隠ぺい・ねつ造を根絶して、透明性が高く公正な行政を確立すること、及び、市民の自由を監視するために用いられている疑いが強くもたれる官房機密費の使途の検証及び今後の使途公開の徹底を求めます。

16.日本国憲法の堅持をもとめます
いかなる理由付けをしたとしても、憲法への緊急事態条項の導入、憲法9条の改悪に反対します。
だれもが尊厳ある暮らしができるよう、日本国憲法の保障する人権が実現できる政治を求めます。
以 上

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