「まるでモラハラのよう」矛盾だらけの「改革」論議名大・隠岐さや香教授【毎日 】


「まるでモラハラのよう」 矛盾だらけの「改革」論議 名大・隠岐さや香教授

毎日新聞2020年12月1日 09時00分
https://mainichi.jp/articles/20201130/k00/00m/010/215000c?cx_fm=mailhiru&cx_ml=article&cx_mdate=20201201

>「フランスのブルボン王朝の出来事かと思うほど、前近代的なことが起きた」。菅義偉首相が日本学術会議の新会員候補6人を任命拒否した問題。学術会議の連携会員で、パリの科学史を研究してきた隠岐さや香・名古屋大大学院教授はこう表現する。5年前、学術会議のあり方を考える有識者会議の委員を務めた隠岐さんには、政府の今回の対応が「学術界に対するモラハラ」に見えるという。どういうことか、詳しく聞いた。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】
>「日本は君主制の国になったのか」
>――任命拒否の問題が発覚してから2カ月近くたちました。最初に知った時はどう感じましたか。
>◆近世フランスのブルボン王朝時代の出来事ではないかと驚きました。それほど異常で前近代的なことが起きたという意味です。私は科学史が専門で、18世紀の「パリ王立科学アカデミー」という、自然科学アカデミーの歴史を研究しています。その会員選出方法も調べました。王立科学アカデミーは「会員が純粋に学問的に優れているかどうか」という基準で選ばれる、近世にしては民主的な組織として知られていました。手法としてはまず会員同士の選挙で候補者を選んで順位をつけ、その順番をつけた複数人のリストを王様に持っていって、順位が1番の人を新会員として王様に認めてもらう、というスタイルです。
>王様はたいてい1番を会員として認めるのですが、順位を入れ替えてアカデミーの意向とは違う人を会員にしたり、リストにあげた人を会員として認めなかったりしたことがありました。その際、そのようにした理由を説明する記録は残っていません。つまり王様は理由を説明することなく、きちんとしたプロセスを踏んで選ばれた人をはねていたということになります。また、選挙制が導入される以前には、政治的、宗教的な理由で会員として認められなかったこともありました。今回の任命拒否と構造が似ているので、日本は君主制の国になったのかと思いました。
>――菅氏は任命拒否の理由についていまだに説明していません。さらに現会員が候補を推薦する現在の選出方法について「閉鎖的で既得権益のようになっている」などと批判しています。
>◆選出方法の変遷の背景を考えると、学術会議側が政府からモラルハラスメントを受けているように見えます。
>発足当初は全国の会員による選挙制でしたが、1980年代には与党の自民党から…
>残り3274文字(全文4261文字)

>新しい形態の学問弾圧「菅首相は歴史に名前が刻まれる」
>木本忠昭・日本科学史学会会長
>連載「
>排除する政治~学術会議問題を考える」をマイニュースでフォロー

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