切られたtRNAがタンパク質合成を止める~新たな翻訳阻害メカニズムの提唱~【日本 の研究.com】

切られたtRNAがタンパク質合成を止める~新たな翻訳阻害メカニズムの提唱~【日本の研究.com】


>【プレスリリース】切られたtRNAがタンパク質合成を止める~新たな翻訳阻害メカニズムの提唱~

https://research-er.jp/articles/view/94934

>微生物の世界では、生存競争を勝ち抜くための手段として毒素が利用されます。コリシンDは、大腸菌に作用して細胞内のアルギニンtRNAtRNAArg>を切断するリボヌクレアーゼ型毒素です。大腸菌には約50種類のtRNAが存在します。これらは配列的にも立体構造的にも互いに似通っておりますが、それにもかかわらず、コリシンDはtRNAArgのみを選択します。
我々は、コリシンDがアンチコドンループ配列に基づいてtRNAArgを特異的に認識することを明らかにしました。また、コリシンDにより切断されたtRNAArgがmRNA上でリボソームを停滞させ、これにより翻訳が阻害されることを見出しました。

>微生物は、ニッチでの優位性を獲得するため、常に縄張り争いを繰り広げています。こうした争いに用いる「武器」として、多くの細菌はバクテリオシンと呼ばれる毒素を生産します。このうち、大腸菌およびその近縁種に作用するバクテリオシンはコリシンと呼ばれます。

>。大腸菌には、アンチコドンの違いにより4種類のtRNAArgが存在しますが、コリシンDはこれらを全て切断します。

>コリシンDが、大腸菌tRNAArgの中で細胞内に最も多く存在するtRNAArgICGを主標的とするのは、より多くの切断tRNAをリボソームA部位へと送り込み、翻訳阻害を重篤化させるためと考えられます。
>tRNA特異的リボヌクレアーゼは、酵母における「キラー因子」と呼ばれる毒素にも存在します。また、細菌のストレス応答因子である「トキシンアンチトキシン機構注5>」などにもみられることから、tRNA切断は細胞増殖制御の手段としても利用されております。興味深いことに、これらリボヌクレアーゼは、アンチコドンループ近傍を重点的に認識します。これはコリシンDと同様、EFTuとの競合を避けるためと考えられ、本研究で明らかにしたメカニズムは、tRNA特異的リボヌクレアーゼに共通すると期待されます。

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