電波望遠鏡用いた中性子星近くのダークマターの探索【日本の研究.com】


電波望遠鏡用いた中性子星近くのダークマターの探索 _
日本の研究.com 2020年10月20日

https://research-er.jp/articles/view/95113

>望遠鏡の二つの電波望遠鏡を用い、理論的に存在が予言されている未発見粒子でダークマター候補の一つともされるアクシオンからの信号を探索しました。研究グループは今回、天の川銀河中心と近傍の2つの中性子星を対象として、アクシオン質量に対応する電波のデータを収集し分析しました。その結果、アクシオンがダークマターである証拠となる信号は見られませんでしたが、アクシオンの質量範囲に強い制限を与えることができました。

>様々な宇宙観測による間接的な証拠から、私たち宇宙の物質の約85>は、ダークマター>暗黒物質
>と呼ばれる未知の物質で構成されていること、そしてダークマターがなければ、星、銀河、我々も誕生しなかったことがわかっています。
そのようなダークマターの有力な候補の一つとして考えられているのが、理論的に存在が予言されていながら未発見の粒子であるアクシオンです。

>アクシオンは「強いCP問題」と呼ばれる観測と理論の矛盾を解決する粒子として存在が予言されています。素粒子標準模型は、自然の4つの基本的な力のうち重力を除く3つの力、電磁気力、弱い力、強い力の3つを説明し、素粒子とその振る舞いを記述している理論です。この理論では、弱い力と強い力の両方においてCP対称性の破れ>が起きるとされています。しかしながら、CP対称性の破れは弱い力のみでしか観測されていません。

>アクシオンは非常に軽くて数が多く、電荷を持たない粒子である必要があります。この特徴により、アクシオンはダークマターの有力な候補の一つと考えられています。

>その特性とは、電磁場が存在する場合に、アクシオンが容易に検出可能な光子へと自発的に変換される場合があるということです。それまでは完全に検出不可能と考えられていたものが、アクシオンと強い磁場が十分に存在していれば、検出可能であることが分かったのです。
>なかでも、中性子星の一部は宇宙で最も強い磁場を持ちます。加えて、中性子星の質量は非常に重いため、大量のアクシオンを引き付けている可能性があります。そのため近年、物理学者達は、中性子星の周辺領域でアクシオンからの信号を探索することを提案しています。こうした流れを受け、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構>望遠鏡の二つの電波望遠鏡を用い、現在まさにアクシオンからの信号の探索を行っています。
>研究チームは今回、強い磁場を持っていることが知られている近傍の2つ中性子星>5億個の中性子星が存在していると推定される我々の天の川銀河中心の探索を行って、5から11マイクロ電子ボルトのアクシオン質量に対応するとされる1GHz>1ギガヘルツ
>の領域の周波数をサンプリングし解析しました。その結果、アクシオンからのものと思われる信号は見つからなかったことから、研究チームは数マイクロ電子ボルトの質量のアクシオンについてはこれまでで最も強い制限を課すことができました。今後、研究チームの更なる探索と解析により、ダークマター候補とされるアクシオンの手がかりが得られることが期待されます。

>CP対称性のCとPはそれぞれ、粒子と反粒子の電荷
>対称性が保たれているとは、変換を行っても物理法則が変換前と同様に成り立つことを示す。CP対称性の破れとはつまり、ある粒子の物理法則と鏡の中の反粒子の物理法則が異なることを示す。

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