「幼稚園」と「保育所」は、本来全くの別物です。
ざっくり違いを書くと
幼稚園:
学校教育法で定められた「教育機関」。
幼稚園教諭資格を持つ職員の配置が必須。
所管官庁は文部科学省。
保育所:
児童福祉法で定められた、「福祉施設」。
保育士資格を持つ職員の配置が必須。
所管官庁は厚生労働省。
両者の違いの詳細は、厚生労働省のサイトにあります。
幼稚園と保育所の基準の比較【職員配置・施設設備等】https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/10/s1024-11d.html
しかし、2006年(第1次安倍内閣)に両者が相互参入する事を認める「認定こども園」という制度が発足しました。
但し、参入する場合は、職員が幼稚園教諭と保育士の両方の資格を持つ必要があります。
その為、実際には「認定こども園」の認定を受けている幼稚園・保育所は少ないです。
この為民主党政権時にこの欠点を補う「総合こども園」制度の創設が図られましたが、自民党の猛抵抗に遭い、潰されました。
しかし保育所不足が深刻化した為、2014年(第2次安倍内閣)で、「幼保連携型認定こども園」という、幼稚園とも保育所とも異なる第3の幼児教育施設が制定されました。
しかしこれも、『学校教育法で定められた「教育機関」』(文部科学省所管)でありながら、認可は『認定こども園法に基づく』(厚生労働省が認可を行う)というクッソ複雑な制度である為、設置自体が殆どされていません。
そこで自民党は、この「認定こども園」の普及を図る為、授業料を減免して入園希望者を増やす、ということをはかりました。
これが、今回可決された「幼保無償化」の経緯です。
「保育所不足」「保育士不足」への対応とは全く関係がないのです。
ちなみに、幼稚園教諭になるには、短大以上の学校で教員免許状取得に必要な単位を取得する必要があります。
(現在は認定こども園の絡みで、3年以上の実務経験がある保育士には認定試験に合格することで二種免許状を取得できる制度もあります。)
一方保育士は、保育系の学校(都道府県知事指定)で単位を取るか、「保育士試験」に合格する2つの道があります。保育士試験の受験資格は少々複雑なので、全国保育士養成協議会のサイトに説明を委ねます。
このうち、不足しているのは「保育士」です。
但し、保育士資格を持っている人は実は決して少なくはありません。就労している保育士が少ないだけなのです。
何故少ないのかというと、超過勤務が多い、繁忙な専門職の割に給与が少ない、といった理由で、保育士資格を持っていても保育士にならない人が多いからです。
ここを改善しないことには、保育士不足も保育所不足も、改善するはずがありません。
自民党の施策が如何にトチ狂っているか、おわかりいただけたでしょうか?
「16~17年度に国の助成決定を受けた全ての企業主導型保育所のうち、約1割に上る252施設が保育事業を取りやめていたことが内閣府の調査で分かった。子どもの受け入れ前に中止したのは214施設。企業側の甘い運営計画や助成金交付を決定する委託機関の審査のずさんさが浮かんだ」https://t.co/RCSQmuE5dH
— 福祉保育労(全国福祉保育労働組合) (@fukuho_info) April 26, 2019