不純物を含まない電解質界面で全固体電池容量を2倍に【日本の研究.com】


全固体電池の界面不純物制御により電池容量を2倍に ―電気自動車の航続距離の増加や定置蓄電など、応用範囲の拡大に向けて―
日本工業大学 東北大学 産業技術総合研究所 東京工業大学

日本の研究.comプレスリリース 掲載日:2021.01.26

https://research-er.jp/articles/view/95990

>東京工業大学 物質理工学院
応用化学系の一杉太郎教授、東北大学の河底秀幸助教らは、産業技術総合研究所の白澤徹郎主任研究員、および日本工業大学の白木將教授らと共同で、電極と固体電解質が形成する界面における不純物制御により、全固体電池の容量を倍増させることに成功しました。

>現在、リチウムイオン電池に搭載されている通常の電極材料よりも高い電圧を発生する電極材料LiNi0.5Mn1.5O4が注目されています。この材料を用いた全固体電池ではLiNi0.5Mn1.5O4を放電状態、Li0LiNi0.5Mn1.5O4を充電状態としていました。しかし、不純物を含まない清浄な電極/電解質界面を作製すると、リチウムの含有量が2倍であるLi2Ni0.5Mn1.5O4を放電状態、Li0Ni0.5Mn1.5O4を充電状態として使えることがわかりました。つまり、2倍の容量が実現したことを意味します。
>さらに、界面形成時にリチウムイオンが自発的に移動し、界面近傍にLi2Ni0.5Mn1.5O4が不均一に存在することを、放射光X線回折測定により明らかにしました。

>固体電解質を用いる全固体電池は、高い安全性、高エネルギー密度(用語
1)や高速充放電特性を兼ね備えた次世代の電池であり、電気自動車や電子デバイスの次世代電源として期待されている。現在、広く利用されている
4程度の発生電圧を有する LiCoO2 系の電極材料に加え、より高い電圧(5程度)を発生する電極材料 LiNi0.5Mn1.5O4
を用いた高出力型全固体電池に注目が集まっており、活発な研究が展開されている。

>LiNi0.5Mn1.5O4
を用いた全固体電池では、放電状態として「LiNi0.5Mn1.5O4」でなはく、「Li“2”Ni0.5Mn1.5O4」を用いると、電池容量が倍増することが予測でき。

>しかし、これまで、Li2Ni0.5Mn1.5O4 を放電状態とした安定した全固体電池の充放電動作に関する報告は無かった。

>本研究グループでは超高真空プロセスを用いた薄膜作製技術を活用し、不純物を含まない清浄な電極/電解質界面を有する全固体電池を作製した。

>不純物を含まない清浄な電極/電解質界面であるため界面抵抗が小さく、高出力が実現する。対照実験として、電極/電解質界面に不純物を混入させると、充放電動作は全く観測できなかった
。これらの結果は不純物を含まない清浄な界面の実現が、電池の高容量化に極めて重要であることを意味している。

>そして、固体電解質の上にリチウム電極を堆積させて電池を作製すると、リチウムイオンの自発的移動がさらに促進され、LiNi0.5Mn1.5O4
エピタキシャル薄膜はLi2Ni0.5Mn1.5O4
エピタキシャル薄膜へと完全に変化することがわかった(図2b)。これは不純物を含まない清浄な界面の形成により、リチウムイオンがスムーズに固体電解質側から
LiNi0.5Mn1.5O4 側に移動したと考えられる。

>今回、LiNi0.5Mn1.5O4
全固体電池における電池容量の倍増が実現したことにより、清浄な電極/電解質界面の新たな役割が浮き彫りとなった。これまで清浄な界面により実現してきた低界面抵抗や高速充放電に加え、電池容量の倍増は全固体電池の応用範囲の拡大につながり、実用化を目指す上で、大きな一歩となると考えられる。


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