統計物理学の視点で細胞集団の振る舞いを理解する【日本の研究.com】


統計物理学の視点で細胞集団の振る舞いを理解する
プレスリリース 掲載日:2020.12.07
九州大学
https://research-er.jp/articles/view/94677

>バクテリアが増殖して形成するコロニーや、紙についた火の広がる様子など、境界面が不均一な形状をとりつつ拡大する様々な現象が「動的スケーリング則」と呼ばれる法則に従っていることが統計物理学の世界で明らかになってきました。しかしながら、どのような仕組みでこの法則が形成されているのか、多くの現象について解明されていないことが課題でした。
>九州大学大学院医学研究院の小熊俊輝博士課程学生・今村寿子助教・三浦岳教授らの研究グループは、上皮細胞コロニーの拡大における「動的スケーリング則」が、「リーダー細胞」と呼ばれる運動性の高い細胞が出現することなどで形成されていることを明らかにしました。研究グループはまず、実験的に観察された細胞運動を表現する数理モデルを構築することで、細胞の運動性の差異や細胞接着の効果が「動的スケーリング則」を作り出すのに十分であることを示しました。更にこの数理モデルについて解析することで、スケーリング則の特徴量と細胞の運動性・接着性の直接的な対応を導出しました。この結果は、生命科学に限らずあらゆる「動的スケーリング則」を説明する上で有用なものだと考えられます。

>大きなスケールの決定論的な性質と、小さなスケールの確率論的な振る舞いを理論的に結びつける統計物理学的アプローチは、医学・生命科学が対象とするような現象を理解する上でも役立つものだと考えています。

>上皮細胞コロニーの拡大図。ただ広がるだけではなく、境界面が時間とともに荒くなっている。
>境界面における空間的なスケーリング則の例。領域長
>とその領域における界面の荒さ
>がべき乗則に従う。
>リーダー細胞の顕微鏡画像矢印
>。高い運動能を持ち、周囲の細胞を牽引するようにして移動する。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

||||||||||||||