【日本の研究.com】 2020/12/00
https://research-er.jp/articles/view/95267
>脳情報通信融合研究センターの西本伸志主任研究員、西田知史主任研究員との共同研究により、コンピュータプログラムを理解する能力について、個々人の習熟度の高さと関連する活動が脳の複数の領域で見られることを明らかにしました。この研究成果は、プログラム理解能力の習熟について脳活動の観点から明らかにするとともに、優れたプログラミング教育法の開発につながると期待されます。
>研究チームは、fMRI※1という脳活動を計測・可視化する装置を用いて、プログラミングの初心者から上級者までを含んだ合計30名の被験者の脳活動を調べました。その結果、各被験者のプログラム理解能力の高さが、大脳皮質の前頭葉・頭頂葉・側頭葉にわたる複数の脳領域の活動と関連することを明らかにしました。
具体的には、脳情報デコーディング技術という解析技術を応用し、実験時に提示されたプログラムの内容を被験者の脳活動パターンから読み取ったところ、前頭葉・頭頂葉・側頭葉にわたる複数の脳領域における読み取り精度が高ければ、各被験者のプログラムを識別する課題の正答率が高成績であることを示し、両者が有意に相関することが分かりました。
この結果は、高いプログラム理解能力を持つプログラミング上級者の脳活動パターンほど、プログラムの内容をうまく捉えられるように洗練されている可能性を示唆しています。
加えて、これまで曖昧で抽象的なものとして扱われてきたプログラミング関連の能力を、具体的な脳領域の活動パターンと結びつけられたことは、IT人材育成やプログラミング教育の質の向上のための基礎的な知見として重要な意味を持つと考えられます。
>脳情報デコーディング技術を応用し、実験時に提示されたプログラムの内容を被験者の脳活動パターンから読み取ったところ、前頭葉・頭頂葉・側頭葉にわたる複数の脳領域における読み取り精度の高さが、各被験者のプログラム識別課題の正答率と有意に相関することが分かりました。この結果は、プログラミングへの習熟が特定領域の脳活動パターンの精緻化と関連する可能性を示しています。つまり、高いプログラミング能力を持つ上級者の脳活動パターンほど、プログラムの内容をうまく捉えられるように洗練されている可能性を示唆しています。
>今後、研究チームは視線や心拍などの脳活動以外の生体信号も組み合わせた調査を推進することで、上級者に見られるような高いプログラミング能力の獲得に寄与する要因を探索していきます。加えて、得られた研究成果を活用し、小学生から社会人まで幅広い年齢層を対象としたより効果的なプログラミング学習の実現にも挑戦していきたいと考えています。
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