難問「巡回セールスマン問題」を新型コンピュータで解決~アメーバの探索能力か ら着想を得てアナログ回路で実現。超スマート社会での活躍に期待~【日本の研究.com】


難問「巡回セールスマン問題」を新型コンピュータで解決~アメーバの探索能力から着想を得てアナログ回路で実現。超スマート社会での活躍に期待~
掲載日:2020.12.02
北海道大学
https://research-er.jp/articles/view/94485

>物流の配送スケジューリングや職場における勤務シフト作成など社会の様々な課題は
>組合せ最適化問題と呼ばれる数学的問題を解くことで解決できます。実社会システムの様々な課題解決には
>この問題の解決が必要不可欠ですが
組合せ最適化問題の多くは効率良く最適解を得る解き方が知られておらず決められた手順に従って動作する従来型デジタルコンピュータが非常に苦手とする問題です。
>国内外の企業や研究機関においてイジングマシンと呼ばれる方式の組合せ最適化専用コンピュータの研究開発が活発化しています。世界初の商用量子コンピュータとして>開発した量子アニーリングマシンもその一つです。しかし
>実社会の課題をイジングマシンが扱える形式に変換する際に>高い専門知識と複雑な計算が必要でした。また
>制約や要求が増大すると条件を満たさないものも解として提示してしまう弱点を抱えています。そのため
>これらの問題点の解決が課題となっていました。

>アメーバ生物である真性粘菌は>単細胞であるにもかかわらず
>不定形の体を環境に適した最も良い形に変形できる高度な計算能力を持つことが知られています。先行研究で
>アメーバ生物を組込んだ「粘菌コンピュータ」が難度の高い組合せ最適化問題「巡回セールスマン問題」の良い解を探索できることが示されていました。
>そこで研究グループは
>アメーバが変形するメカニズムをアナログ電子回路中の電子の動きで再現する独自の「アメーバコア」に
>制約条件をコンパクトに表現する「抵抗クロスバー」を組合せた新方式のコンピュータ「電子アメーバ」を開発しました

>巡回セールスマン問題を定義する都市間距離をクロスバーの交点にある抵抗値で表現し
>クロスバーによって定義される電子環境の中でアメーバコアが解を探索します。都市配置や距離は抵抗値を変えるだけで簡単に変更できます

>。より大きな都市数の問題に対する探索性能を回路シミュレータを用いて調べると
>電子アメーバが探し出せる巡回経路長は>無作為抽出法>により得られた平均的経路長よりも常に短く
>経路を探すために要する時間も都市数に比例する程度に抑えられることがわかりました
>。理論的には都市数が増えると経路の候補が爆発的に増加しますが
電子アメーバは全ての経路候補を参照しなくても短い経路を見つけ出すことができるのです。この高い探索能力はアメーバ生物を用いた粘菌コンピュータが持つ特長と同様であり
>電子アメーバは生物が自然淘汰を経て獲得した優れた能力を再現しているといえます。

>巡回セールスマン問題を解く代表的なアルゴリズム2opt
>と探索時間を比較したところ
>都市数が多くなるほど電子アメーバが有利になることがわかりました

>電子アメーバとクロスバー構造は
>一般的な半導体デバイスで構成されたシンプルかつコンパクトな回路であり
>半導体集積回路技術を利用することで小型・低消費電力の専用計算チップを作製できます。今後
>デバイスなどにも組込み可能な小型で省電力の組合せ最適化チップとして
>超スマート社会「Society>0」における様々な場面での活躍が期待されます。

_____


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

||||||||||||||